がんになったらどうする?いろいろな選択

コルポスコピー検査と組織診を受けた日のことです。
中待合で待っててほしい、と言われ、
診察室を出てすぐの廊下の4人掛けソファーで待ちます。
中待合はすぐに診察に呼ばれる患者さんが座るところで、
ソファーは4つあり、いつもは余裕で座れるのですが、
この日はギュウギュウ。
ちょっと空いたスペースを見つけて、何とか座りました。
隣に座っていたのは、年配の上品なおばあさま。
80歳は超えていそうです。
その隣にはどうやら、息子さんと娘さんらしいお二人が座っています。
ご家族でいらっしゃっているのか・・・
どうりでこりゃ、ギュウギュウなわけだ。

しばらくすると、この年配のおばあさまに、若い看護師さんが
話しかけてきました。
どうやら、このおばあさま、子宮に病気が見つかったらしいのです。

看護師さん「私はこの病院中で、患者さんの相談に乗ったりしています。
これから、不安や相談などお話をしていきたいので、よろしくお願いします。」
と、自己紹介しつつ名刺を渡します。
にこやかで優しそうな看護師さん。

おばあさま「よろしくお願い致します。」
しゃべり方もとっても上品なおばあさまです。

看護師さん「体調はいかがですか?自覚症状などはありませんか?」

おばあさま「ええ、私はとっても元気です。自覚症状もおりものが
      たまに気になるぐらいで、あまり感じないんです。」

看護師さん「これからの治療は、先生とお話しされていますか?」

おばあさま「先生とお話しさせていただいたのですが、もし病気が見つかっても、
      手術はしない、抗がん剤もしない、ということに決めております。」

上品な話し方でしたが、手術と抗がん剤はしない、という点はかなり
キッパリした口調でおっしゃっていました。ここは絶対に譲れない、
という気持ちが伝わります。

看護師さん「そうですか、わかりました。何か気になることがあれば、
     いつでも相談にのりますので、何でもおっしゃってください。」

そんな感じで会話は終わり、看護師さんは去っていきました。

その後、このおばさまと息子さん、娘さんは、
「お昼何食べる?」
と、何事もなかったかのようににこやかな会話に戻りました。

もう、家族でおばさまの病気のことについては、話ができていて、
結論も出ている、という感じでした。

私はきっと、これから病気と闘っていかなければならない身なのですが、
「手術をしない、抗がん剤もしない」、という
このご家族の話を聞かされてしまい、だいぶ複雑な気持ちになりました。

できれば、診察室でお話ししてほしかった・・・。

ご年配の方なので、病気の進行も遅いですし、手術して体力が
回復させるほうが難しい、と判断されたのでしょうか。
息子さん、娘さんはさぞ心配だろうな・・・とも思いました。

後で気づきましたが、この時の看護師さんは緩和ケアの担当の方なのかも、
と思います。
こんなにやさしく親身になってくれる人がいてくれれば、
さぞ安心だろうと思います。

いづれ私のところにも来るのだろうか・・・。

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